イラストがとてもきれいなことで有名な新海誠監督の作品ですが、「天気の子」も例外なく美しいアニメイラストで構成されています。
今回は、「天気の子」の素敵なイラストが誰によってどのように制作されているのかを「君の名は。」と比較しながら詳しくまとめてみました。
新海誠監督の作品のイラストの特徴
映画「天気の子」で使われているイラストは、とても美しいと大人気ですが、その特徴は、「現実に存在している世界」を、心がときめくような美しいイラストに仕上げているというところにあります。
例えば、「君の名は。」では、実際に存在している須賀神社や、駅前の様子など、とても美しく描写されています。
君の名は
— たろちん (@taro_rider) 2016年8月28日
ポスター&クライマックスシーンの聖地。
四ツ谷 須賀神社前階段。
すでに沢山の人が写真を撮りに来ていました。 pic.twitter.com/Cwf9AF3T8Y
飛騨古川駅前の根拠画像が出てきたので写真をより背景に近いものに差し替えました
— 紙状 (@yomikatajiyu) 2016年8月30日
君の名は。の聖地巡礼(岐阜・飛騨古川と角川のバス停) https://t.co/RJ12D39pjZ pic.twitter.com/0ekCMSsswa
「君の名は」
— ます (@masukun41) 2016年8月28日
ロケ地:東京信濃町駅前歩道橋 pic.twitter.com/10E0f1P25y
また、「天気の子」でも同じように、レインボーブリッジや、六本木ヒルズなど、実在する場所がイラスト作品に散りばめられています。
「天気の子」のトレーラー第二段が出たみたいだけど
— 雪見月 (@yukimituki11) 2019年5月29日
第一弾にもあった船とレインボーブリッジの聖地巡礼行ってきたので比較。
東海汽船のさるびあ丸だけど、作中に近い条件で航行するのはこの時期の大島方面に配船される平日。
来年には引退予定なので既に数えるほどしか撮れる日ないかも? pic.twitter.com/66vUfwM8mp
#天気の子 の聖地(ロケ地)特定を取り急ぎ。今回の予告編(予報2)のラストは六本木ヒルズの屋上スカイデッキです pic.twitter.com/wLnFY3aP17
— ぶるじょわ鰻 (@anguille_bourge) 2019年5月28日
このように、新海誠監督は、日常的な風景を素敵なイラストに変える力があると高く評価されています。
天気の子のイラストレーター(キャラクターデザイン)
天気の子のイラストレーターで、特にキャラクター・登場人物の外見やイメージのデザインに携わったのは、田中将賀さんです。
田中将賀さんは、「君の名は。」でもキャラクターデザインを担当していました。
君の名は。↓
天気の子↓
新海誠監督は、背景美術を全面に押し出すような作品作りをしていますが、そんな新海誠監督の作品作りを壊すことなく、登場するアニメキャラクターを共生させることができる田中将賀さんのキャラクターをとても気に入っていたようです。
「長編をつくるなら、田中さんとのコンビネーションでやりたい」と新海誠監督は強く感じていたと言います。
田中将賀さんは、アニメーター、もしくはキャラクターデザイナーと呼ばれることが多いですが、過去に多数のイラストを手がけており、
- 家庭教師ヒットマンREBORN!
- とらドラ!
- 学園黙示録 HIGHSCHOOL OF THE DEAD
- あの日見た花の名前を僕達はまだ知らない。
- あの夏で待ってる
- じょしらく
- ダーリン・イン・ザ・フランキス
- 心が叫びたがってるんだ。
- 空の青さを知る人よ
などのキャラクターデザインを担当しています。
田中将賀さんは、子供の頃から絵を描き続けていましたが、親の猛反対を受けて、理系の大学に通ったそうです。
しかし、自分の唯一の武器は「絵を描くこと」だと言い、結局絵の世界へ戻ってきたそうです。
田中将賀さんが素敵なイラストレーター(キャラクターデザイナー)として成功した秘訣は、「自分の絵柄・画風へのこだわりというものを全部捨てたから」だと話しています。
そして、原作のアニメ化でキャラクターデザインを担当する際に意識していることは、「原作に対する敬意を持って取り組む」ということだそうです。
田中将賀さんは、原作を読み込むと、原作者が特に力を込めて書いている部分や、見せたい絵というのが掴めてくるので、そのキーとなる部分をしっかり汲み取ることを意識していると語っていました。
「君の名は。」で新海誠監督の思いを汲み込んで、登場人物をアニメ化することに成功した田中将賀さんは、新海誠監督が安心して仕事を共にできるパートナーなのでしょう。
その結果、「天気の子」でも、田中将賀さんがキャラクターデザインを担当することになったのでしょう。
天気の子のイラストレーター(背景・美術監督)
美術監督とは、アニメ化された映画の背景や空間を作成するチームの統括です。
単純に、アニメの人物的キャラクター以外の背景を担当している人と思うとわかりやすいかと思います。
「君の名は。」では、丹治 匠さんと他2人が美術監督を担当していましたが、「天気の子」の美術監督は、滝口比呂志さんが担当しています。
丹治 匠さんは、新海誠監督の過去作品「雲のむこう、約束の場所」や、「秒速5センチメートル」、「星を追う子ども」の美術監督を務めてきました。
一方、滝口比呂志さんは、前作「君の名は。」で、美術設定を協力しただけに留まっていますが、新海誠監督の作品「言の葉の庭」では、「天気の子」と同じように美術監督を担当しています。
言の葉の庭↓
君の名は。↓
雲のむこう、約束の場所 ↓
秒速5センチメートル ↓
星を追う子ども ↓
天気の子↓
滝口比呂志さんは、他にも、「BLAME!」や桜井画門の人気コミックで、不死の新人類をめぐる争いを描いた「亜人」などの美術監督を担当しています。
BLAME! ↓
亜人 ↓
「君の名は。」と「天気の子」の美術監督が変わった理由については明らかにされていませんが、もしかすると、丹治 匠さんは、滝口比呂志さんよりも宇宙的要素の描写が得意だからかもしれません。(憶測です)
天気の子のイラストレーター(作画監督)
天気の子のキャラクターデザインを担当した田中将賀さんと、背景を担当した滝口比呂志さんについてご紹介しましたが、今度は、作画監督についてお話します。
作画とは、キャラクターデザインや背景などが動いて見えるように、動画として制作していくことです。
つまり、作画監督は、田中将賀さんがデザインしたキャラクターと、滝口比呂志さんがデザインした背景を使って、動画(映画)を作る仕事をしています。
「天気の子」の作画監督を担当したのは、田村篤さんです。
「君の名は。」の作画監督は、安藤雅司さんでした。
「君の名は。」で作画監督を担当した安藤雅司は、スタジオジブリに入社後、宮崎駿監督に才能を認められ、「もののけ姫」の作画監督に26歳で抜擢されています。
その後、「千と千尋の神隠し」や、今 敏監督の「東京ゴッドファーザーズ」、沖浦啓之監督の「ももへの手紙」などの作画監督も担当しています。
「天気の子」で作画監督を担当することになった田村篤さんも、安藤雅司さんと同じようにもともとスタジオジブリで仕事をしていました。
田村篤さんは、安藤雅司さんと一緒に、「もののけ姫」の動画や「千と千尋の神隠し」の原画を制作していました。
「猫の恩返し」では、初めて作画監督補を担当しましたが、作画監督を担うのは、今回の「天気の子」が初めての作品となります。
天気の子(新海誠監督作品)の美術画集
新海誠監督の描く作品は、ジブリ作品のように、何度見ても心に響く作品となっています。
さらに、新海誠監督の作品は、もともとジブリ制作に携わっていたスタッフによって制作されているので、ジブリと同じような絵の美しさが描かれていることから、美しい絵を本として手元においておきたい方のために、美術画集なるものが出版されています。
新海誠監督作品 君の名は。美術画集
新海誠アートワークス 星を追う子ども 美術画集
中身はこんな感じ ↓
「君の名は。」の美術画集は、映画の物語に出てきたシーン約220点が掲載されており、美術スタッフのコメントも記載されています。
また、新海誠監督やその他の映画制作に携わったスタッフのインタビューも収録されています。
収録されている絵はどれも美しく、写真みたいにリアルな絵で、制作スタッフがどこまで細かく世界を描写しているかが見て取れ、感動するとの声もあります。
また、映画「天気の子」を含め、新海誠監督は、現実に存在している世界を映画に登場させているので、美術画集のおかげで、日常的な世界が輝いて見えるようになるとの声もあります。
「天気の子」の美術画集
「天気の子」の美術画集の販売はまだ始まっていませんが、大好評だった「君の名は。」に続いて、映画公開後に販売されることになると思われます。
新しい情報が分かり次第追記していきたいと思います。
まとめ
「天気の子」は、「君の名は。」と同じキャラクターデザイナーによって制作され、ジブリ出身のスタッフによって作画をまとめられた美しい作品なのでした。
美しい世界観と美しいイラストを表現する新海誠監督の作品は、次世代ジブリに君臨するのかもしれませんね。